在りし日のハヤカワであれば分冊せずに出せたんだろうけど、角川文庫なんだから無理だよな。ま、最近は本も売れないらしいし、分冊にしたほうが値段も高くつけられるだろうしで都合がいいんだろうね。
とまぁ、そんなわけで昨年夏に刊行されたことに最近気づいて慌てて買ったのですが、マンガやラノベではないちゃんとした(?)小説を読むのは久しぶり(考えてみりゃフロスト気質以来だな)なので、読み終わるのに 10 日程かかってしまった。読んでないと読むスピードも衰えるのだなぁ。つーか以前であれば徹夜してでも読み終えただろう面白さなのに、それをしなかったってことは歳をとったってことなんですかね。
大筋としてはよくある話だとは思うのだけど、構成が複雑なことと登場人物が多く先がなかなか読めないのと伏線バリバリなおかげで読んでて飽きない、というか止めどころが難しい。
しかしそれ以上にフロスト気質とおんなじよーに出てくる子供の親に感情移入しちゃうどころか、この話だと登場人物がなんでこうなったかってところも割と細かく語られるので、ウチの子はこうなって欲しくないなぁ、とか、せめて自分の意志で自分の人生を歩いて欲しいなぁ、とかそんなことも考えながら読んでたので中々話が頭に入ってこないという(苦笑)。
後書きによると次回作の刊行予定もあるみたいなので、首を長くして待ちたいところ。でもきっと、昔楽しんだようには楽しめないんだろうなぁ、と思うとちょっとだけ寂しい。
ちなみにドン・ウィンズロウの本を読んだことがないのであればこの犬の力よりも個人的には不動の最高傑作であるカルフォルニアの炎をオススメ。それにしてもミステリってジャンルは幅が広いね。
「犬の力」への3件の返信
なぜハヤカワが引き合いに出されているのかはわかりませんが、四百字原稿用紙に換算して1500枚という分量の作品を文庫1冊で出せる版元は存在しないと思います。
値段については、むしろよく1000円に抑えたと思えるぐらいで、それを何か悪徳商法のように書かれると、角川書店もせつないのではないでしょうか。
もしかして翻訳者ご本人ですか!? 毎回楽しませてもらってます。次回作以降も担当されるんですよね? 期待してます!
んで、まさか突っ込まれるとは思っていませんでしたが(苦笑)、昔の文庫(特にハヤカワミステリ)は字が小さく紙も薄かった印象が強いのと、ハヤカワ(と創元)が好きで角川が嫌いなのと、分冊が嫌いなのが合わさってあのよーなことを書いてます。
あくまで感覚ですが、当時のフォントサイズと紙の薄さであれば一冊にまとまるよーな気がするんですよねぇ。無理ってんならしょーがないですが。
『犬の力』を例にとると、仮に活字を二段階小さくして、一行に43字詰め込んだとしても、900ページ近い本になってしまいます。製本がむずかしいのではないでしょうか。無理やり作ったとして、定価はどうなりますか? 2000円というわけにはいかないでしょうから、頑張って1500円というところですかね。
無理に無理を重ねて、売上げは(単純計算で)4分の3になるわけです。小さい活字が嫌われたりすると、さらに減るかもしれません。
現状でも、翻訳ミステリーに関しては、版元は赤字、訳者は生活苦というありさまです。
なにとぞご理解のうえ、今後ともご愛顧いただければ幸いです。